在カメルーン日本大使館主催文化事業「J-POP祭」
(2012年11月17日、於:ヤウンデ) 開催報告:その1(開催準備)


2012年11月17日にヤウンデ市内のフランス文化センターで、JICAカメルーン事務所の協力のもと「J-POP祭」と称したコンサートを開催しました。開催準備、コンサートの模様、コンサートの反響を3回にわたってご紹介します


カメルーンの対日イメージは、一般的に戦後めざましい成長を遂げた技術・経済大国、そして、経済協力で小学校を建設しているという好意的なものですが、現代の日本文化や日本人に関する情報になかなか触れるチャンスはありません。このような状況の中、日本・カメルーンの文化交流・人的交流を図り、日本の1990年代から2000年代のJ-POPを通じて、日本への理解や関心を深めることを目的として、新井大使の企画からこのコンサートがスタートしました。

 


大使がカメルーンに住む日本人・カメルーン人のミュージシャンを発掘してバンドを結成し、このコンサートのために12曲、練習を重ねて演奏を披露しました。

 

「Tom & Jacars」(注)メンバー


・日本人
前出なお子(青年海外協力隊員、ボーカル)
菊池孝司(日本大使館二等書記官、ボーカル)
新井勉(日本大使、ドラム)

 

・カメルーン人
ステファン・エバア(演奏リーダー、ベース)
ロディ・エコア(ドラム)
ウィリー・エトゥンディ(ギター)
ジュール・タウェンベ(キーボード)
アクバイ・ニンガマイ(日本大使館職員、コーラス)

演奏曲(計12曲、演奏順)

 

亜麻色の髪の乙女(島谷ひとみ)
空も飛べるはず(スピッツ)
乾杯(長渕剛)
ふれて未来を(スキマスイッチ)
心を開いて(ZARD)
世界に一つだけの花(SMAP)
世界を止めて(THE COLLECTORS)
Beloved(GLAY)
上を向いて歩こう(坂本九)
人生の扉(竹内まりや)
負けないで(ZARD)
Tsunami(Southern All Stars)

 

(注)Tomは大使の名前(Tsutomu)から、また、JacarsはJapanとCameroonの合成。


 ボーカルの二人はそれぞれ学生時代にバンドボーカル経験ありの実力派です。バングラップ(Bangoulap)という町で活動する前出さんは、週末練習のために片道4時間悪路の中バスに乗ってヤウンデまで来てくれました。大使館員の菊池はカラオケでもマイク不要で十分な声量の持ち主です。


40歳代から日本でドラムを習い始めた新井大使は、主催者として挨拶の準備もさることながら、曲の選定、コンサートの構成も自ら企画していました。

 

ギターのウィリーさんとベースのステファンさんは、曲を聴いてノートにコードを起こし、キーボードのジュールさんとドラムのロディさんは楽譜もなく体得して演奏していました。「次はこの曲を練習しよう」「この曲のキーを下げて」などと練習中に急な変更をお願いしても、4人で30分位練習すると歌えるようなレベルに仕上げてきました。ドラム・ギター・キーボードの3人は、カメルーン人のミュージシャン「Manu Dibango」のバック演奏もしていて、ここでは人気のあるバンドに属しています。

 

コーラスのニンガマイは、週末には教会でゴスペルを歌う大使館の同僚です。日本語は職場で聞く挨拶などしか知りませんが、ローマ字で歌詞を覚えてきました。

 

筆者はコンサートの裏方として練習を見ていましたが、カメルーン人メンバーの間でも「さん」づけで呼び合うようになったり、歌詞の「ずっと」という言葉は、現地語で「許して」という意味だよと教えてもらったり、部族の王様に会ったときの挨拶方法など、日本とカメルーンの文化の違いも交えながら練習が進んで行きました。

このコンサートは大使館やJICAカメルーン事務所のスタッフが一丸となり、作り上げた点もあります。バンド名を考えること、招待状の手作りロゴ作成、当日大使館スタッフの服装は浴衣やはかま等着用でもOKというようなアイデアが当日サポート役の大使館員から出てきましたし、放送専門の青年海外協力隊員が当日のビデオ撮影を行い、後日協力隊員の活動する町のラジオ局で音声を流したいというような波及効果も出てきました。

 

 

コンサート前には当地新聞社が新井大使へのインタビューを行いました。予約状況もかなり良く、本番はしっかり、そして無事にできるよう祈るばかりとなりました。

 

(広報文化担当:荻野)