カメルーン便り

 

カメルーン便り(ドゥアラ・ブエア・リンベの旅):ドゥアラ編

 

2014年7月に当館館員がプライベートで訪れたドゥアラ、ブエア、リンベを3回に分けて、見聞録として紹介いたします。

 

tizu


きっかけはある1つの石鹸

 

ヤウンデの中心部、モンテ・アーヌ・ルージュ(Monte Ane Rouge)と言われる坂の隠れた場所に、ヤウンデでは珍しくおしゃれな石鹸を中心に取り扱ったお店があります。色鮮やかで、きれいで、いい匂いのする石鹸が数多く並ぶ店内で、灰色の石鹸を見つけました。それこそ今回の旅を思いついた、リンベの火山岩石鹸なのでした。

sekken


(店内で見つけたリンベの火山岩石鹸)


リンベとは、ギニア湾に面した漁業や石油で栄えている町であり、中部アフリカ最高峰の活火山であるカメルーン山の火山灰の影響で黒くなった砂浜が有名です。ヤウンデからは車で5、6時間かかりますが、カメルーン山以外にも、植物園、リゾートホテル「セム・ビーチ(Semme Beach)」があり、見どころは1つだけではありません。また、カメルーンの経済都市ドゥアラや、カメルーン山の入り口の町ブエアへ1時間程度でアクセスすることができます。
ヤウンデで見つけた「リンベの火山岩石鹸」の源を知るため、そして、その火山岩を放出したカメルーン山とは一体どういう山なのかを実際に見るため、1泊2日という短い期間でしたが、リンベ、ブエア、そしてカメルーン最大の都市であるドゥアラを訪問しました。


ドゥアラまでの道のり

 

ヤウンデからリンベに行くには、カメルーン経済の中心地ドゥアラを通らなければなりません。ヤウンデからドゥアラは300km程度あり、道路は舗装されています。しかし、ほとんどの区間が片側一車線で、大きなタンクローリーや巨大な木を積んだトラックが途切れることなく走行しているため、思ったように速度が出ません。朝6時30分にヤウンデを出発し、11時頃ようやくドゥアラの入り口にたどり着きました。ここからがまた大変です。道の両脇に延々と続く小さな露店に人やタクシーが集まるため渋滞が発生し、前に進むことは容易ではありません。「ドゥアラに行くならその入り口の渋滞で1時間は我慢しなければならない」と現地の人々は言います。
結局、ドゥアラの中心部に着いたのは12時ちょっと前でした。

 

ベル王の宮殿(Palais du Rois Belle)

 

ドゥアラで行政機関が集まるボナンジョは、独・仏統治時代の建物が残っている落ち着いた雰囲気の地区です。ベル王の宮殿はボナンジョ地区の政府広場(Place du gouvernement)に面しています。

belle


(ベル王の宮殿。現在建物の一部はカフェ・レストランとしてオープン)


このベル王の宮殿は19世紀末にベル一族の王宮として建造されました。その特徴的な外観からベル王の仏塔(Pagode du Rois Belle)とも呼ばれ、市内でも異色の建物です。なぜこのような設計にしたのかは、建設当時、インドやアジア風の建物が流行していたからという説がありますが、本当のところはよくわかりません。
この宮殿は、現在、フランス人のオーナーによりカフェ・レストランに改装中でした。オーナーの計らいで内部を見せてもらいましたが、王宮としての雰囲気はほとんど感じられませんでした。
出発前に、この歴史的価値を兼ね備えたカフェで昼食をとり、ブエアに向かいます。

 

ウーリ河に架かる橋

 

ドゥアラからブエア・リンベに行くためには、ウーリ河に架かるウーリ橋を渡らなければなりません。
ウーリ河はドゥアラの発展に欠かせなかった河であり、河口には大きな貿易港があります。また、この河はカメルーンの国名の起源となった河であり、カメルーンの歴史を書いた本を開いてみると、「1472年、ポルトガルの航海士フェルナンド・ポーが、現在のウーリ河の河口から上流へ向かおうとした時、無数のエビが河の中にいることに驚き、その河を『Rio dos Camaroes(エビの河)』と名付けた。そのことから、国名がカメルーンとなった。」と記述されています。


hasi
(ウーリ河に架かるウーリ橋・写真右手奥が貿易港)


このような歴史的な河に架かるウーリ橋は、フランスがカメルーンを統治していた1950年代にフランスによって架けられたとのことで、橋の中央には鉄道も敷設されています。現在では橋の土手沿いに、大きな工業団地が整備されつつありました。
このウーリ橋はドゥアラからリンベ、ブエアといった南西州に行くための唯一の橋であり、英語圏である南西州と仏語圏沿岸州以東を結ぶ架け橋でもあり、そして経済的にも重要な橋です。もしこの橋がなかったとしたら、ドゥアラからリンベに車で行くためには、ヤウンデを経由して何百キロも大回りをしなければなりません。ドゥアラでショッピングや観光をする人達も、そして自動車やバイク、食料を運搬・販売する人たちもこの橋がないと困ってしまいます。

さて、橋を渡れば、ブエアはもうすぐです。

 

  次回はブエアについてです。お楽しみに。

 

(おことわり:この文章は館員の個人的な感想に基づき記載されたものであって、大使館としての公式見解を反映したものではありません。)