カメルーン便り
カメルーン西部州・北西州の王国と自然(その1)
(2012年4月末に大使館員がプライベートで訪問)
カメルーンとは
カメルーンは、アフリカ大陸の中西部に位置している国で、縦長の3角形(底辺約800km)に近い形状をしています。面積は日本の約1.3倍で、熱帯雨林、山河、高原地帯などもあって、地形的、気候的、民族的、その他様々な面で非常に多様性のある国です。また、フランス語と英語を共に共通語・公用語としているという点で、アフリカでは珍しい国といってよいでしょう。これは、19世紀後半、ヨーロッパ列強によるアフリカ分割が行われた時に、まずドイツの植民地となりましたが、その後、フランスの植民地となった地域と英国の植民地となった地域が、後に合併して形成されたという歴史がその背景にあるからです。
カメルーンの国境線は、他の多くのアフリカ諸国と同じように、海岸線から内陸方向に向けて直線で引かれたところが多いのですが、これは19世紀後半にドイツのビスマルクの下でベルリン会議が開催され、ヨーロッパ列強によるアフリカ分割が、机上の線引きをもって行われたことによるものです。
カメルーンの宗教と王国
カメルーンについては、キリスト教が40%、イスラム教が30%、残りは原始宗教と言われています。イスラム教は、サハラ砂漠を通じて北から伝わってきた歴史的経緯もあって、内陸部に信者が多く、他方、キリスト教は、海岸地帯から内陸部に向けて浸透してきました。
植民地支配のための拠点は、多くは海岸地帯周辺にあったので、カメルーンの内陸部の高原地帯やステップ地帯までは、宗主国による直接統治は及ばず、その結果、昔ながらの伝統を引き継ぐ小さな王国が現在も点在しています。行政的には、カメルーンは、10の地域(州)に分かれていますが、これらの小さな王国(行政的には村落)では、数百年以来の文化がいまだに息づいているところもあって、実際の人々の生活においては、それぞれの王国の伝統的指導者が支配しているようです。
こうした昔の伝統を残す西部州・北西州の王国を5回シリーズでご紹介します。
次回はバンジュンの王国についてです。お楽しみに。